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第27回(2024年) 受賞作品〈富山県魚津市〉

第27回(2024年) まちづくり・都市デザイン競技は、富山県魚津市の「魚津市海岸線地区」対象に実施しました。
全国から48作品の応募があり、入賞作品が下記のとおり選定されました。
 *魚津市長特別賞は、魚津市にて選定されました。
スケジュール
応募登録期間        : 令和6年10月1日(火)~令和7年2月21日(金)
現地説明会         : 令和6年11月7日(木)13:30~14:30
質疑受付期間        : 令和6年11月7日(木)~11月15日(金)
応募図書提出締切 : 令和7年3月4日(火)17時必着
審査委員会         : 令和7年3月17日(月)
11月 審査員による現地説明会の様子
3月 審査委員会の様子

受賞作品


国土交通大臣賞

作品名
「Hitch Stitch Patch(ひっち すてっち ぱっち) -強くしなやかな関係を築く未来の魚津-」

受賞者
石河 莉夏子/田代 祐一
[建築家]
審査講評
  • 広範囲な対象地に点在する地域資源を有機的に繋ぎ、発展させていくという難しい解が求められる課題。この作品はそこに向け、まずキャッチ、すなわちタイトルで将来へのイメージを打ち出し、それに即して現実的なモノを次々と提案し、それらをまとめ上げた力量を高く評価。
  • みらパークではエリアのデザインと建築のそれが統合されており、建築内では水族館断面をうまく使い、バリアとなっている県道をわたるアイデアが優れ、ホテルと飲食店の組み合わせも無理がない提案内容。さらに、対象地全体としては、拠点の提案を、新宿商店街などまちなかまで引き出し広げていく提案となっているのも良い。新築提案とリノベーション提案のバランスも優れている。
  • ダイナミックな水族館が特徴的なプラン。その水族館をみらパークの軸に据えて、全体を再構築しようという作品。旧大町小学校の活用、スタートアップを意識した展開など、全体的にバランスよく出来ている。モビリティに関する提案がある点も高く評価。
  • 旧大町小学校を拠点として、蜃気楼ロードに沿って、丹念に町の文化を掘り起こしている。ハイライトが新魚津水族館。水槽トンネルの伝統を生かしたダイナミックで迫力のある提案は、国土交通大臣賞にふさわしいと高く評価。
  • 既存の地下トンネルを活用したみらパークのデザインが魅力的であった。海岸線地区については、都市のデザインのみで無く、飲食店のスタートアップ支援や、アーティストの活動の場の確保等、産業面の活性化にまで触れた内容であった。全体として、市の課題について、おおよそ全ての解決策の提案がなされており、まとまりのある作品であると感じた。
1枚目
2枚目


まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞

作品名
「Aqua-Archipelago~水と循環がつなぐ未来の魚津海岸線地区~」
 
受賞者
渡邉 大祐/川添 純希/今村 真樹子/古閑 樹 
[清水建設株式会社]
審査講評
  • この地域の普遍的な特徴は標高2000mから水深-1000mまでの標高差3000mの生み出す自然現象。なかでも水循環を軸に語られているこの作品の視点を評価。その場、その土地が持つ意味に由来するまちづくりの方向性を提示している点も評価。
  • まちなかに循環の小さな拠点を点在させていくアイデアが明快。「交通でつなぐ」以外の全体の統合を描き出している。たてもん伝承館を三角形の目立つ形状で円弧の湾に並べることで、湾の景をつくっている良案。一方で、魚津水族館の提案に一工夫あればより良かった。
  • まちなか水族館というアイデアはユニーク。みらパークにとどまることなく、魚津の資源である水族館そのものをまちに展開することで、地区全体の活性化を目指す点は評価される。水循環にこだわった提案に説得力がある。旧大町小学校の提案も魅力的。ミラージュランドとのより一層の連携ができれば更によかった。
  • 海と山、そして富山湾をつなぐ雄大なコンセプトをベースに、まず骨格を作り出している作品。これをもとにネットワーク型の都市デザインを構築し、「まちなか水族館」をつくりだしていることを評価。一つ一つのディティールがきめ細かに提案されており、緻密で暮らしに密着した提案。
  • 市の課題に対して、詳細な解決策が提案されていた。特に「まちなか水族館」の提案に関しては、市の掲げる「水族館を核としたまちづくり」とコンセプトが一致しており、デザイン・手法を含め詳細な提案がなされていた。
1枚目
2枚目


(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞

作品名
「惹かれてやまない魚津海岸~富山湾の魅力をいちばん体験できる場所~」
 
受賞者
石田 武/半澤 武夫/杉本 士美/野島 僚子/西山 有希/倉品 凜一/白鳥 翔大/米山 研人/西山 鈴音/深谷 恭平/伊藤 綾花/北脇 優子/大井 涼太朗
[大成建設株式会社]
審査講評
  • 全体的に未来的なイメージで非常にうまくまとまった提案となっている点を評価。新水族館の設置場所が斬新であり、これまでの魚津市の課題であった、みらパーク(水族館)と海岸線地区の各施設との回遊性について、実際の距離を縮めることも解決策の1つであると新たな発見がある作品。アクティビティをベースとして、生き生きとした多彩な提案が行われている点も評価。
  • 鉄道新駅、ロープウェイなど大胆な提案が含まれている案。全体としてバランスよく描かれている点が評価される。水族館を海沿いに展開するとともに、旧市街、北側の漁港にもそれぞれアイデアが示されている。
  • 全体の提案の密度が高い。特に、3km超にわたる海沿いの公園・建築の提案は力量を感じる。各拠点のデザインと全体のデザインが無理なく融合している。一方で、水族館を含むみらパークの建築物は過大に感じられ、やや旧世代的なイメージであった。
  • 全体に大変よくできていた。一方で、当該市の財政規模などを一定配慮するべきとの立場からは、やや盛りだくさんで新魚津水族館の長大なスケールが適切か否かは検討が必要。
  • 全体として非常にまとまった作品であった。新水族館の設置提案場所が斬新であり、これまでの魚津市の課題であった、みらパーク(水族館)と海岸線地区の各施設との回遊性についてを、実際の距離を縮めることも解決策の1つであると新たな発見があった。
1枚目
2枚目


奨励賞

作品名
「MIRAGE FANTASY ~探してみんマイけ 魚津の魅力~」
受賞者
松原 希実/毛田 優香/早野 詩織
[株式会社福見建築設計事務所]
審査講評
  • これからの都市デザインは、ビジュアルというより、方向性やアクティビティといったことがより重要だと認識。この観点から、この作品は地域で展開されているアクティビティから紐解き、街として展開している内容で今後の都市デザインの一つの方向性を示している点を評価。
  • 建築的な提案をしっかりとしつつ、そこで起こる(起こす)アクティビティの設計まで踏まえて丁寧に提案されている点に好感が持てる作品。特に、地域での実際の活動主体の特性を捉えて、空論ではないアクティビティ発生を描き出している。一方で、空間設計自体は、まちなみに対して唐突な形態の建築物や、ややつくり込みすぎな多目的公園などが気になった。
  • 地域の活動に着目して、それをベースにまち全体を結んでいこうという提案。地域の状況をよく理解し、スポーツなどの新しい視点を加えることでみらパークをさらに魅力的にしようとする提案を評価。
  • 地元の地域資源を発掘し、丹念に一つ一つのエリアに埋め込んで提案をしていることを高く評価。特に、地域のスポーツ活動の情報を丁寧に集めた提案や水族館にタワーを設けて湾景として目立たせたことは秀逸。全体として説得力ある「草の根都市デザイン」。
  • 魚津市の既存の事業者、既存のイベントを活用した提案がなされており、また地区全体の回遊を「体験」活動により向上されることが提案されており、建造物の新設改修等と比較して、実現性が高く感じられた。
左側
右側


奨励賞

作品名
「魚津水族都市 ~地域全体を水族館に見立てた、水族館の4つの役割が核となる新しいまちづくり~」
受賞者
大渕 光佑/髙橋 真以/菊池 直紀/小松﨑 楓
[戸田建設株式会社]

審査講評
  • PortをNorth・Middle・Southとして、水上や水際を果敢にデザインしている提案内容。西(北西)向きの海岸を活かして夕陽を眺めるなど、都市環境だけでなく、水面環境も十分に活かされている提案。エリア全体は、舟運を含む交通でどのようにつなげていくのか、具体の繋げ方や交通空間の提案に欠ける点が残念。
  • まち全体を水族館に見立て、みらパークに隣接するようにポートを設置し、船も利用して回遊性を高めようというアイデアを評価。定住人口を増やすための事業スキーム等も考えられており、まちを活性化していく多様な提案が都市デザインとしてまとめられていることを評価。ミラージュランドとの連携をどう深めていくかという視点での提案がほしかった。
  • 海をつなげて交通問題・モビリティを解決しようとする提案がユニーク。海に突き出た水族館プラン・デザインが独創的。
  • この作品は町全体を水族館と捉え、陸路に加え積極的に舟運を取り入れている点で優れている。一点残念なのは1枚目と2枚目がまずビジュアル的に脈絡が薄く、殊に1枚目の分析は詳しいが、文字ばかりな点が残念。
  • 「移動式水族館」を利用することで、海岸線地区の回遊性の向上に関する課題解決及び、魚津市が目指す「水族館を核としたまちづくり」の2点を同時に実現できる提案がなされていた。
1枚目
2枚目


魚津市長特別賞

作品名 
「UOTER CITY」 
受賞者 
榎 航太朗/柿坂 信/中山 東風/村木 駿斗/矢野 亜美/野末 誠斗
[戸田建設株式会社]
審査講評
  • 魚津市の特徴である、海と山との高低差及び水の循環をデザインのコンセプトとしている点が魅力的であった。海岸線地区については、点在型アクアリウムを設置することで回遊性の向上が図られており、また、旧大町小学校を水循環の学びの場として提供しており、魚津市の目指すべき姿が提案されていた。
  • 作品1枚目に大きく描かれたパースから、魚津市の明るい未来が見えた。
  • みらパークにおける交通課題を、既存の道路状況のまま水族館を分棟とすることにより解決を図り、その上でパーク内のさらなる回遊性の向上に寄与している点が魅力的であった。
  • 点在型アクアリウムにより、魚津市の目指す「水族館を核としたまちづくり」の実現、対象地区全体の回遊性の向上のみでなく、現在魚津市が抱える空き家問題の解決までも図っており、非常に優れてた提案であると感じた。
  • なお本作品は、審査会では上位3賞に次ぐ4番目の高評価であった。
1枚目
2枚目

総 評


  • 今年度の課題は、広範囲な地区に伝統的な資源が数多く存在し、それらをどのように発掘して新しい街づくりに展開していくかという「都市デザイン」の最も重要なテーマにチャレンジする競技設計であり、それによって人口減少の続く地方都市における現実的な答えが欲しいというものであった。この難問に対し多くの作品が現実的な観点から提案してきたことは少なからず驚きでもあった。
  • みらパーク内の水族館の取り扱いについては、様々な提案があった。ミラージュランド、海、旧市街地等との関係を水族館の提案と結び付けているため、受賞作品も多様なものとなった。一方、具体化する際には、合意形成を含め様々な手順・工夫等が必要となることから、これからの時代における新たな視点を多く含む、示唆に富んだ競技となった。
  • 高く評価された作品は、広大な自然環境や水循環といったマクロのスケールと日々の暮らしのヒューマンスケールという二つのベクトルを「都市デザイン」という作品に昇華させたもの。いずれも、新しい発見が数多く秘められており、魚津市の未来に貢献していくものと考えている。
  • 一方、河川区域内に建築物を提案するなど応募要領を充分に読み込んでいない提案や、地方の厳しい現状は理解されないままバラ色の将来を描いた、という提案も少なからず存在したのは残念であった。今年度の対象都市・地区が地元の課題に深く根ざしたものであったため、提案内容においても、ユニークさや独創性というよりも現実に根ざした夢のある実現可能性に力点が置かれ、評価のポイントもそれに呼応した。これも現代のまちづくりの一つの方向性だと感じる。いずれの提案の場合でも、より納得の得られる根拠などが必要であるとの感想を得た。


結果概要(応募件数・審査方法・受賞作品・審査講評)

<掲載作品>
国土交通大臣賞/まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞/(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞
<掲載作品>
奨励賞(2点)/魚津市長特別賞

過去の入賞作品

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