第28回(2025年) 受賞作品〈千葉県柏市〉

目次

第28回まちづくり・都市デザイン競技(柏駅周辺地区)の開催について

第28回(2025年) まちづくり・都市デザイン競技は、千葉県柏市の「柏駅周辺地区」(約42.8ha)対象に実施しました。
全国から41作品の応募があり、入賞作品が下記のとおり選定されました。 ※柏市長特別賞は、柏市にて選定されました。
スケジュール
応募登録期間        : 令和7年11月13日(木)~令和8年2月9日(月)
現地説明会         : 令和7年11月13日(木)13:30~15:30
質疑受付期間        : 令和7年11月13日(木)~11月20日(木)
応募図書提出締切 : 令和8年2月16日(月)17時必着
審査委員会         : 令和8年2月25日(水)
12月 審査員による現地説明会の様子
2月 審査委員会の様子

受賞作品

※同一の賞が複数ある場合は、作品番号順に掲載しています。

国土交通大臣賞

作品名
「むすんで ひらいて... かしわで ~変化を繰り返しながら多世代が響き合うまちに~」 

受賞者
石田 武/半澤 武夫/杉本 士美/野島 僚子/平賀 順也/西山 有希/アニサ ラマティア ワルドヨ/白鳥 翔大/村上 菜登/倉品 凜一/石井 元啓/小林 芽依/比果 未穂子/北脇 優子/大井 涼太朗
[大成建設株式会社]
審査講評
  • 提案の密度が非常に高い作品。歴史の文脈を丁寧に読み込み、その複数の軸を立体的に引き込むことで障壁となっている駅・線路を難なく乗り越えている高度な提案と言える。立体的な広場提案は少なくなかったが、その中でも最も無理なく三次元展開している広場デザインであった。西口北地区で再開発しつつ野間土手沿いに残す商店街のスケールやハウディモールで防火建築帯の意匠を残した建て替えなど既存の柏のまちの文脈の残し方も丁寧で好感が持てる作品。
  • すべての課題に対してバランスよく提案を行っていて、個々の提案の精度も高い。駅前広場の機能配置やデザインなどを含めて、全体によく目配りされた説得力ある提案となっている。段階的に整備が進むイメージもわかりやすく表現されている。
  • 10年後、そして20年後の柏市が、明確に伝わってくる作品。ダブルデッキの記憶を残し、新しい広場への展開をふまえて柏第一小学校からハウディモールまで、まちの未来像が丁寧に提案されている力作である。
  • 計画に向かう姿勢、多彩な視点、そしてそれに対応した十分な解答と力の入った図、提案競技の優秀賞としてなるほどという案であると評価できる。2枚目の中心的なドローイングは力作である。
  • 柏駅周辺のこれまでの歴史や現在抱える課題を踏まえ、10年後、20年後のまちの姿をビジュアルに示しながら、具体的かつ様々な提案が全体的にバランス良くなされており、国土交通大臣賞に相応しいと高く評価。
  • 10年かけてまちを「むすび」20年かけてまちを「ひらく」というコンセプトのもと段階的なまちづくりを提案した点が高く評価できる。魅力的な都市のデザインもさることながら、交通機能の集約や市役所機能を駅前に移転するといった空間再編に加え、運営体制などソフト面も丁寧に検討されており説得力がある。柏駅周辺地区の未来像を見事に表現した優れた提案である。
1枚目
2枚目


まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞

作品名
「連鎖するまち かしわっか」

受賞者
服部 優亜/天野 篤 [早稲田大学創造理工学部建築学科]
審査講評
  • プレゼンテーションパネルの全体を示す鳥瞰パースが魅力的で引き込まれる。大小様々なオープンスペースがいきいきと魅力的に展開している、特に、ハウディモール沿道のグランドレベルを通り抜け可として、奥のポケットパークに引き込む構成は優れたデザイン提案だと感じられる。駅前の建築も、創造的機能を複合し交通機能を地上及び地下に収めた図書館複合施設は意欲的である。ただし、交通機能が収まりきっていないように見える点が残念。
  • そごう跡地とデッキ部分を一体的に解いている案。西側の学校跡地を含めてオープンスペースの連環・連鎖を中心に駅前から周辺に至る緑豊かな柏を求めようという姿勢に説得力あるかつ好感のもてる提案となっている点を高く評価。
  • 現在の柏駅周辺に、最も欠落している公園やオープンスペースを都市デザインの基本に据え、一つ一つの場を丁寧に、かつ市民に分かりやすいデザインで提案をしている。柔らかな温もりのある未来像である。
  • なんといっても真上から見たタイトルバックのドローイングの迫力。そして中身を見ていくと「かしわっか」とのコンセプトが複層的に構成されていて見事な作品。
  • 柏が持つ資源、柏が抱える課題を踏まえ、それを解決する手法として、市民の活動の輪を生む場である「かしわっか」を拡げるハード整備、ソフト的な取組みの具体的かつ様々な提案がなされている。柏駅周辺を上空から眺めた絵はとても精緻に描かれており秀逸。
  • 大・小さまざまな活動の輪を重なり合うように配置し、地区全体に広い賑わい・回遊性をもたらすコンセプトがユニークな提案。共同配送の導入等、環境・交通課題への実効性に加え、図書館の駅前再編や緑豊かな人の居場所の創出といった柏駅前に求められている都市の姿を上手く描いた点が高く評価できる。愛着と活気を育む持続可能なまちの姿を描き出した優れた提案である。
1枚目
2枚目


(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞

作品名
「KASHIWA Try-Angle ~まちの角を起点に絶えず挑戦が生まれるまち柏~」

受賞者
関 華子/野上 昌孝/佐藤 良介/大山 優/梅澤 達紀 [株式会社 日本設計]
審査講評
  • 市街化された柏のまちなかに、野間土手の痕跡を見出し、さらに道の交わりによって生じてしまう三角形の敷地に着目した点がユニーク。デッキ状のオープンスペースで北口を介して東口と西口が柔らかくつながる点も魅力がある。バス停や庁舎機能の分散配置は他にない提案であったが、そこに賛否もあった。
  • バストランジットモールを軸にして、駅前を解こうというメッセージと柏第一小学校から野馬土手沿いに歩行者空間を形成しようという意図が、全体パースにうまく表現されている。かつ野馬土手を導きの糸としてまちの角地に着目してユニークな提案を行うことに成功している。ただ、東口広場の設置等、建築と広場の一体的デザインにさらなる工夫がほしい。
  • 「野馬土手」という柏の歴史的構造に着目をし、都市デザイン戦略、交通計画をふまえて戦略的プランを提示している。柏第一小学校跡地をコミュニティの複合的利用空間とする、挑戦する人を支える場として再生する提案を高く評価。
  • この作品の見せ所はタイトルバックのドローイング。やや既視感があるものの、やはりこういったわかりやすく印象的な打ち出しこそコンペの作品という評価ができる。
  • 柏の成り立ちや柏駅周辺のまちの特徴や課題を踏まえ、それを解決する具体的かつ様々な提案がなされている。
  • 柏の歴史的な都市骨格である野馬土手と放射状街路が生む「角」に着目し、人々の「挑戦(Try)」が連鎖するまちを目指す「Try-Angle」というコンセプトが秀逸。トランジットモール化による歩行者空間の確保や、3種の角(えき・のま・まち)の拠点整備が丁寧に検討されており、ハードとソフトともに実現性の高い優れた提案として高く評価できる。
1枚目
2枚目


奨励賞〈1〉

作品名
「カシワ×バ -人・文化が交わり、多様な活動が生まれる土壌-」

受賞者
尾美 樹生/石本 莉菜/清水 杏/髙橋 昌幹/田村 悠真/蓜島 幹汰/安野 壮哉 [戸田建設株式会社]
審査講評
  • 柏駅周辺を歩行者中心の空間とし、モビリティハブを外側に整備した思い切った提案。ウォーカブルなまちなかに多様なバが配されていることに魅力がある。その反面、モビリティハブまでの距離があるため、交通接続性にやや難があるように感じられた。線路橋上の商業施設や広場の整備にも懸念の声があった。
  • 駅前に集中的にエネルギーを注ぎ、魅力ある空間を提案している。都市のダイアグラム分析にも説得力がある。線路上に全面的にデッキを設置する大胆な計画は、若い設計者として、他にないものであった。ただ、最も売りの線路上空空間のあり方に関するメッセージが薄いのが残念。
  • 人と文化の交わる空間を"バ"ととらえ、秀逸なパースにより、全体が構成されている力作である。部分に比して、全体像のパースが明確に表現されていなかったことが課題であった。
  • さまざま魅力要素の多い柏駅周辺に足りないものは「バ」であるとの明確な打ち出しが作品全体を貫いている点が魅力である。
  • 駅周辺にあった交通ターミナル機能を周辺のモビリティハブに移設し、駅周辺をウォーカブルなエリアに改変し、エリア全体の回遊性を高めるとの大胆なプランであるが、一方で、バス・鉄道の乗り換え利便性の確保といった視点から支障は無いのかといったことが気になった。鉄道敷の上部に広大なデッキや建築物を配置しているが、整備コスト面から適切か否かは検討が必要ではないか。
  • 人や文化が交わり多様な活動が生まれる土壌「カシワ×バ」を創出するコンセプトが高く評価できる。モビリティハブへの交通機能の集約による地区全体のウォーカブルな空間形成や、防火建築帯の段階的な更新が丁寧に検討されている。道の個性を再定義し、運営・整備の体制も練りこまれた優れた提案である。
1枚目
2枚目


奨励賞〈2〉

作品名
「カシワ・シャベリバ -都市を更新する“会話のインフラ”開発計画-」

受賞者
吉永 悠真/饗庭 優樹/池成 貴大/川崎 太一/本夛 みずほ [株式会社 竹中工務店]

審査講評
  • カシワの丘、おしゃべり交差点、ポケットParkの3つの空間のイメージが明快が豊かであり、多様な規模・多様な位置づけのオープンスペースがいきいきと描かれている。パネルのレイアウトもメリハリが効いていて良い。一方で、地下のバスロータリーなど交通機能が解き切れていないように見えるのが残念。
  • そごう跡地とデッキ部分を一体的に解いて、丘を目指すというアイデアは面白いし、魅力的でパースも評価できる。とりわけ各スペースの雰囲気をスケッチによってうまく伝えることに成功している。ただ、残念ながらバスロータリーを地下にする部分が解けていない。交通処理空間のデザインを一段深めていただきたい。
  • "シャベリバ"という若者らしいコンセプトをもとにまち全体をデザインするというチャレンジをしている。個の発信と全体の発信という、大きなGAPへの挑戦が評価された。
  • 「おしゃべりする場」という楽しいコンセプトが提案のそこここから溢れ出ている魅力がある。その作者たちの気持ちが作品に現れている点が良い。
  • 駅周辺におしゃべりする場を分散配置することにより、駅周辺の回遊性を高めるコンセプトは興味深い。交通計画において、バスと一般車両のロータリーを出た先のルートが重なっており、円滑な交通が確保されるのか気になった。
  • 「おしゃべりする場」を都市更新のインフラと捉え、まちの中に「Shaberiba」を展開するコンセプトがユニークな作品。歩行者中心の道やポケットパークの創出といったハード面と、シェアリングシステム「カシmore+」をはじめとするソフト面の提案が見事に融合している。多様な交流や活動が連鎖し、賑わいあふれるまちの姿を描き出した、説得力のある優れた提案として高く評価できる。
1枚目
2枚目


柏市長特別賞〈1〉

作品名 
「かしづく、かしわ。 Seed × Link = SEEd LINK」

受賞者 
鷹野 まい/久保 貴生/和田 倫典/長井 香南/池澤 匠 [株式会社オオバ]
審査講評
 柏駅周辺の歴史的・文化的資産を「種」と捉え、それらを繋ぎ育てる「かしづく」という独自の都市成長プロセスを提示した点で高く評価できます。従来の単一的な機能更新に留まらず、多様な活動を誘発し、都市の滞在価値を根本から再構築する優れた空間戦略となっています。
 そごう跡地エリアに計画された複合拠点施設「KOTOKIMI」を整備することに加え、モビリティハブ、滞在型商業施設、オフィスといった多様な都市機能を立体的に集約することで、新たなランドマークを形成し、駅周辺に滞留する賑わいを広域へと面的に波及させる強力な都市機能のコアとして役割が期待されます。
 また、東口の主軸であるハウディモールにおけるトランジットモール化の提案も秀逸です。権利関係の調整が伴う防火建築帯の建替えを契機とし、段階的な更新を見据えながら建物内にデッキを貫通させ、立体的な歩行者ネットワークを延伸する手法は、既存ストックの更新と都市の回遊性向上を両立する、極めて実践的な都市デザインの解と言えます。
 さらに、これらの整備を「柏版LABV組織体」という官民連携スキームによって推進し、公有地をタネ地として事業の持続可能性を担保している点は、現代の都市計画における実現化の要請に的確に応えるものであり、総合的に高く評価に値します。
1枚目
2枚目

柏市長特別賞〈2〉

作品名 
「KASHIWA HUMAN NEXUS 〜分断された街を「人の成長」で縫い合わせるコモンズ〜」

受賞者 
金城正紀 [東京家政大学]
審査講評
 本作品は、インフラの老朽化や都市の分断に対し、「人の成長と交流」を機軸としたコモンズの創出によって都市組織を縫い合わせようとする極めて意欲的な秀作です。
 また、特筆すべきは、提案に描かれた美しい都市空間のデザイン性です。旧そごう跡地の地下躯体を活用した「サンクンガーデン」や、グランドレベルとデッキの高低差を緩衝する「小上がりステージ」など、精緻な断面計画により上下階層の断絶を鮮やかに解消しています。
 加えて、コンテナや木造ユニットを活用したヒューマンスケールな構成や、多様な緑化が織りなす情景は、これまでの大規模建築が壁となっていた閉塞感を払拭し、街へと視線が美しく抜ける豊かな空間を創出しており、都市の滞在価値を視覚的にも高める魅力的な風景として描き出されています。
 こうした卓越した空間デザインに加え、閉鎖的なエッジを解体する「多孔質化」の空間戦略や、社会実験から段階的に実装を図るプロセスデザインも秀逸であり、まちづくりの持続可能性と高度な意匠性を両立させた提案として総合的に高く評価できます。

1枚目
2枚目

総 評


 柏駅周辺の課題は、昭和30年以降の急速な都市化によって発展してきたまちに対し、抜本的な構造転換が求められる節目に位置づけられる競技設計であった。対象地区には、駅東西で高まりつつあるまちづくりの機運や、異なる課題を抱える複数のエリアが含まれており、それらに対して一つの方向性を示す必要があるなど、「解く」こと自体が難しいテーマであったと考えられる。その中で受賞作品は、中核都市としての将来ビジョンという重要な課題に正面から挑んだ力作が揃っていた。全体として提案の密度・精度は高く、現状認識や課題整理も的確で、柏市の未来像を丁寧に描いた作品が多かった。
 受賞・落選に関わらず、都市構造の分析からまちづくりのプロセスデザインに至るまで、多様な視点を網羅した提案が多かった点も印象的である。いずれの作品も、柏の成り立ちや地域特性、課題を十分に分析したうえで、明確なコンセプトを打ち出し、ハード・ソフトの両面から多様な手法を組み合わせていた。これらの提案は、今後の柏市のまちづくりを考えるうえで有益な示唆を与えるものである。また、ビジュアル表現も、市民が将来のまちの姿を具体的にイメージし、まちづくりへの関心を高める契機となる点で意義深い。さらに、柏の大火からの復興の象徴である防火建築帯(ハウディモール)の記憶を次世代に継承しようとする提案が多く見られたことも、特に興味深かった。
 一方で、全体として説明的な傾向が強く、提案・表現の両面において振り切った案がやや少なかった点は惜しまれる。また、駅前デッキの広場化を図る提案が多く見られたものの、交通処理の検討が十分とは言えないものもあり、都市的スケールでの成立性への配慮が求められる。審査においては網羅性が評価されやすい側面があるが、実際のまちづくりにおいては「明確で分かりやすいコンセプトの打ち出し」がより重要である。受賞に至らなかった作品も含め、今後さらなる深化と挑戦が期待される。

結果概要(応募件数・審査方法・受賞作品・審査講評)

※(2026.6.3)内容に一部誤りがございましたため、修正版に差し替えさせていただきました。
※(2026.6.2)一部作品画像に誤りがございましたため、内容を修正いたしました。ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

「柏駅周辺地区 まちづくり・都市デザイン競技記念シンポジウム」開催のお知らせ

 柏駅周辺地区を舞台に開催された「まちづくり・都市デザイン競技」を受け、柏市主催による、これからの柏のまちづくりを展望するシンポジウムが開催されます。
 受賞作品の制作者によるプレゼンテーションをはじめ、西村幸夫氏(東京大学名誉教授・國學院大學法人特別参事)による、柏駅周辺のまちづくりをテーマとした基調講演が行われる予定です。

▼柏駅周辺地区 まちづくり・都市デザイン競技記念シンポジウム
  開催日程 2026年6月27日(土) 13:30~15:00
  会  場 キネマ旬報シアター(柏駅西口 柏高島屋ステーションモールS館1階 千葉県柏市末広町1-1) 

申込・詳細については、柏市ホームページをご覧ください。

過去の入賞作品

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