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第22回(2019年) 受賞作品〈愛知県岡崎市〉

第22回(2019年) まちづくり・都市デザイン競技は、愛知県岡崎市の「岡崎駅周辺地区」(約80ha)を対象に実施しました。
全国から54作品の応募があり、入賞作品が下記のとおり選定されました。
*岡崎市長特別賞は、岡崎市にて選定されました。
  
スケジュール
 応募登録期間 : 令和元年 9⽉18⽇(⽔)〜令和 2年 2⽉14 ⽇(⾦)
        ※現地説明会参加希望者・質疑提出希望者は
         令和元年10⽉29⽇(⽕)まで
 現地説明会  : 令和元年11⽉ 5⽇(⽕)
 質疑受付期間 : 令和元年11⽉ 5⽇(⽕)〜 11⽉12⽇(⽕)
 図書提出締切 : 令和 2年 2⽉28⽇(⾦)17 時必着
 審査委員会  : 令和 2年 3⽉12⽇(⽊)

応募要領

(455KB)

国土交通大臣賞

作品名
余白の編集
~三河花火を嗜むためのホテルをランドマークに~

 
受賞者
小林 洸至
[アオイ設備工業株式会社]
審査講評
  • 地元をよく知る人が愛情を込めて描いた岡崎の近未来図。古民家を、丁寧に生かし、全体の未来像を提案していることが高く評価された。岡崎公園の濠の再生等、吉田邸との連携で価値のある空間に創生されると考える。東岡崎駅前は萬徳寺の墓地を活かし、岡崎市の歴史を継承する空間となっている。
  • 丁寧に素材をみつけて、その具体的かつ現実的な解を示すことで、岡崎市街地の将来を指し示す真摯で人間的な提案に感動した。これからの街づくりは、このようなアプローチが大切なのではないかということを計画案としてまとめた秀作。なお、東岡崎駅周辺に対する提案がより充実すると更によくなると思われる。
  • 地域の個性にしっかりと向き合い、まちの魅力の拠点となる建築(民家)を発掘しながら各々を結びつけ歩きたくなる道づくりを行っている点が高く評価された。地域の場所性を体感しながら構想されていると考えられ、そのスタンスが今後の21 世紀のまちづくりに不可欠と考えられるので、行政のまちづくりとして十分に参考にしていただきたい提案。
  • 入念な調査により、深いレベルで地域特性を読み解いた本作品からは、地域への愛とあたたかな眼差しが伝わってくる。一軒一軒の建築物の具体的で詳細な活用(リノベーション)提案のスケッチは、実現可能性を感じさせる高いレベル。建築物の高さを低層に抑えたまちなみのグランドデザインによって、城下町の風情や城への眺望を地域全体で創出しようとするアイデアは、ヒューマンスケールで身の丈に合った都市デザインで、検討に値する提案。
1枚目
2枚目

まちづくり月間全国的行事実行委員会会長賞

作品名
時空を超える 歴史・みらい都市 岡崎
~みんなで育てる「まちなかコモンズ」~
 
受賞者
横山 紗英/ 川島 和馬/ 大木 茉由/ 峯田 鈴音/ 長塚 瑞穂/ 飯田 珠実/
伊藤 直也/ 韓 煜明/ 小泉 文佳/ 中山 知香/ 熊谷 春輝
[中央大学 研究開発機構 グリーンインフラ研究室]
 
審査講評
  • アーバンデザインの戦略をバランス良く示した好感の持てる提案。岡崎城への眺望に対する配慮もなされている。“まちなかコモンズ” という、新しい都市デザインの手法の提案が高く評価された。公民連携の具体的手法として今後につながるもの。立体都市公園制度を活用して、岡崎城の景観保全に配慮した未来像かつ提案がなされている。
  • 〈公〉と〈知〉の中間領域〈共〉空間(コモンズ)として注目し、まちの“居場所”づくりに仕立て上げネットワーク化している〈作法〉が評価された。21世紀のまちづくりは〈建築〉づくりではなく、“〈空地〉こそ最大の価値”という視点にたってまちなか再生を行っていくことが極めて大事であることを市民と共有しながら具体的なまち再生につなげてほしい。
  • 5 つの提案が具体的な進め方も含めて提案されており、全体としてうまくまとめられている。空き家空き地問題に対し、コモンズというわかりやすいテーマを取り上げ、わかりやすくまとめた点を評価する。
  • 建造物の高さを抑制し、城と川の眺望を守ることが地域全体の価値を高めるという発想に共感が持てる。
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2枚目

(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞

作品名
PSO LEAGUE:まちづくり惣まくり
 
受賞者
村上 修一/ 井口 陽介/ 寺山 友香/ 西村 成貴/ 王 琪雯/
井口 とも/ 多田 裕亮/ 中野 美香/ 西村 実穂/ 橋目 恵里
[滋賀県立大学 環境科学部 環境建築デザイン学科 / 滋賀県立大学大学院 環境科学研究科 環境計画学専攻]
 
審査講評
  • オープンスペースから始まる都市デザインの方向性を良く描いている。PSO(Public Spaces for Okazaki)という概念で、多様な活動を提案していることが評価された。岡崎城の背後の景観のコントロールを明確に示していることが重要である。
  • 「PSO リーグの行動計画とその実行中の市街地像」と呼べるような作品で、今後の街づくりに重要な示唆を与えていると思う。「こういうことをしたら良いと考える」ことはさほど重要ではなく、「こういうことをします」と言い実行することこそが、成熟市街地でなすべきことということ。
  • 当プロジェクトは〈コモンズ〉をパブリックスペース(公空間)として解いている。公共の側が十分力があるならば地権者を巻き込みながら展開できるであろう。重要な拠点は〈PSO〉で、その他は地権者相互の協調による〈コモンズ〉で行うという公民連携で行うのが望ましいのかも知れない。
  • 縮退の時代にまちの隙間を豊かに使うための工夫として、様々な状況を想定した空間整備、アクティビティ、リノベーション、まちでの過ごし方が提案されており、それらが実装されたまちを歩く姿を想像すれば、随所に発見のある楽しいまちなみが目に浮かぶ。まちなかで発生する多様な課題への対応策として個々のアイデアや仕組みは検討に値する。
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2枚目

奨励賞

作品名
DEMARU
~城下町を守る「眺め」と「流れ」~
 
受賞者
坪内 健[ 北海道大学 大学院工学院]
菊地 翔貴[ 株式会社ドーコン]
加持 亮輔[ 株式会社エスエーデザインオフィス一級建築士事務所]
 
審査講評
  • 力強い筆力で岡崎の将来像を描ききっている。出丸とその2つの要素(櫓と川床)を提起し、そこから都市デザイン全体を提案しているのは見事。
  • 「櫓」と「川床」というデザインのツールを活用してわかりやすい都市デザインを提案しており、防災という視点を取り入れていることが評価された。ただし、ペデストリアンデッキという形態は、手法としては20 世紀型であるため、メッセージの出し方としては、検討が必要であった。
  • ホテルを移転させ、城の景観を回復させたり歩きたくなるための場所のリフォームを注意深く進める提案が好感をもたれ評価された。都市デザインのクオリティという意味ではいささか物足りない点も指摘されたが、志を忘れずに都市デザインの力をつけていただきたい。
  • 市民が誇りとする岡崎城への眺望の質を高める取組みとして、建造ボリュームのコントロールや、明快な視点場の設定は非常に有効な手法。近年、頻発する水害への対応として、河川整備等による強固な守りを固めるハード整備に依存するばかりでなく、まちに溢れた水をしなやかに受け流そうとする都市デザインの思想は、過去に何度となく水害を経験してきた城下の低地地区における新たな浸水対策の方向性を示した点を評価。
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2枚目

奨励賞

作品名
「街みち」と「宿り場」で賑わいが巡る
ー東海道と総曲輪の現代的再興ー
 
受賞者
川上 周造/ 北原 遼大/ 下山 萌子/ 髙須 有希/ 中西 芳樹/ 松永 幹生
[ 株式会社竹中工務店/ 早稲田大学大学院]
 
審査講評
  • 東海道と総曲輪という歴史的特性を活かし、新しい都市デザインに収斂させていることが、高く評価された。しかしながら、東岡崎の駅前地区については、20 世紀型のデザインの領域を脱することができず、より深く考察すべきであったと考える。
  • 4 つの地区に対し、“街みちと宿り場” というキーワードを用いそれぞれに様々な工夫を施そうとしている点は評価される。個別の空間デザイン、都市における建築のあり方については更なる工夫が望まれる。
  • まちなか再生には〈居住〉と〈サービス〉の回復が大きな課題になっている。何の〈サービス〉施設が求められているかを居住者参加のかたちを探り、実現しようとするスタンスが評価された。
  • 50 年後の将来像を示しつつ、段階的に小規模な整備を進める展開は、公民連携の取組みの中で、関係主体が目標とするビジョンを共有しつつ、それぞれに過度な負荷が生じない手法として有効なプロセスだと考えられる。思考のベースを定住促進に置きながら、観光、産業育成、子育て等の幅広い課題を結び付けて同時に解決を図る論調も高く評価したい。
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岡崎市長特別賞

作品名
身近な空、つながるまち
 
受賞者
上林 就/ 網倉 朔太郎/ 児玉 創/ 岡村 壮真
[ 東京大学 工学部 社会基盤学科/ 東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻]
 
審査講評
本作品からは、乙川の河川空間で空を見上げながら散歩やボート遊びを楽しむ市民の姿が、鮮やかなイメージとして伝わってきた。乙川の水面を「太陽の動きを映し出す」装置として捉え、そこから時間や季節の移り変わりを感じ取る感性や、多くの人が親しみを持てる「空」を切り口として都市空間の公共性とそのあり方を論じ、新しい空間の捉え方を提示した点などを高く評価した。生活者や来街者が体感的に認識できる範囲の景観を整え、空や自然を身近に感じられる都市デザインを志向する姿勢は、「歩きたくなるまちなか」の形成を目指す上で強く共感できる。「スカイオフィス」の提案で、隣接する建築を物理的に繋ぎ、連続するプライベートな屋上空間を誰もが行き来できる公共的な空間に転換しようとしたアイデアも面白い。また、乙川や緑道がつなぐ「空の軸」と、地場産業の八丁味噌や地元食材を体感的に楽しめる「食の軸」の創出に関する提案にも興味を惹かれた。土地利用の公共性に関する議論を深めるとともに、岡崎の地形や自然、歴史文化に根差した景観形成を進め、子供たちが「ふるさと岡崎」に対する誇りと愛情を育むまちづくりを進めるにあたり、意義深い提案である。(岡崎市)
 
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総評

  • 「50 年後の岡崎城周辺の姿を描く」ことが課題のひとつとして与えられていたため、審査委員会でも21 世紀の都市デザインは何を⼿がかりにやればいいのか、という議論となった。歩きたくなる空間デザインの多様な⼯夫に⽐べ、岡崎城をめぐる景観に対する提案が限られており、⾮常に残念である。都市スケールで環境デザインを議論する姿勢が必要だと思われる。
  • ⼄川という⾃然環境、そして河岸段丘上に位置する岡崎城という豊かな資産を有する都市の50 年後の理想像を描き、そのための具体的提案をするという、「都市デザイン」の本質を問う競技設計であった。⼀つ⼀つの提案に、この課題を真摯に受け⽌め、取り組んだ⾜跡を読み取ることができ、極めて質の⾼い作品がよせられたと考える。総じて、2020 年となり、21 世紀も20 年を経過したが、20 世紀的都市デザインの系譜からの本格的離脱が始まっていることが、明確に打ち出された競技設計であった。
  • 岡崎という経済⾯では全国の中では恵まれている部類の都市中⼼部の50 年後を問うといった難しい課題を扱い、⼀⽅要項で⼀定程度求める内容を明⽰した中での提案競技であった。印象としては、上位の都市将来像や課題からブレークダウンして⾏き解答を⾒つける、といった取り組みに⽐して、⽐較的⾝近で肌感覚から発想して将来像に⾄るといったアプローチが成功しているように思えた。地域の資質や歴史など踏まえた既成市街地の改造は、実はこう⾔ったところに答えがあるのではないか、ということを考えさせられる内容であった。
  • 今回のまちづくり・都市デザイン競技は市の側のこれまでのまちづくり活動をベースに計画論としての現状認識、課題の整理がよく整理され、コンペの応募者にとっては⾮常に明解な取り組みになったと考えられる。それだけに応募案はその市の路線にのったかたちになり、各々が同じような提案になってしまった感がある。歩きたくなるまちづくりから住みたくなるまちづくりが50年先を考えれば重要になるとも考えられ、市としては現状その観点からの計画論を構築してほしい。住み続けられ、住み継がれる“定常型社会”づくりこそこれから求められていると思っている。

競技結果の概要(応募件数・審査の様子・受賞作品・審査講評)

受賞作品の展示について

受賞作品のパネル(大賞~奨励賞)を、国土交通省(合同庁舎3号館)1階展示コーナーにおいて展示します。
 日  程  令和 2年 6月17日(水)~ 6月30日(火)
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