本文へ移動

第25回(2022年) 受賞作品〈栃木県宇都宮市〉

第25回(2022年) まちづくり・都市デザイン競技は、栃木県宇都宮市の「宇都宮駅西口周辺地区」(約25ha)を対象に実施しました。
全国から43作品の応募があり、入賞作品が下記のとおり選定されました。
 *宇都宮市長特別賞は、宇都宮市にて選定されました。

  
スケジュール
 応募登録期間        : 令和4年10⽉3⽇(月)〜令和5年2⽉17⽇(金)
 現地説明会         : 令和4年11⽉14⽇(月)14:30-15:30
 質疑受付期間        : 令和4年11⽉14⽇(月)〜 11⽉21⽇(月)
 応募図書提出締切 : 令和5年3⽉3⽇(金)17 時必着
 審査委員会         : 令和5年3⽉14⽇(火)

応募要領

(542KB)

国土交通大臣賞

作品名
ときめく宇都宮
 
受賞者
石田 武/半澤 武夫/野島 僚子/前山 倫子/伊藤 航平/高橋 健/橋本 港
[大成建設株式会社]
審査講評
  • 都市構造の分析、仕組みが丁寧に書き込まれている。駅広場全体を多様な場としている点が、アーバンデザインとして高く評価された。デザインの実現にあたっての具体的な仕組みが提案されているとともに、地区内のエリア分けや景観形成など、作品全体が高いレベルでまとめられ、バランス良く仕上がっている。
  • 多方面の課題に答えていて、都市の読み解きから地区の提案細部のデザインにまでそつなく仕上がっている。多くの点で現実的な対応として参考になる部分も多いと感じられる。また、「ときめき」をキーワードに、まちなかで発見・愛着・共感を深めてまちづくりに繋げていくアイデアが面白い。
  • 対象地区内のアーバンデザインの課題がよく解けている。特に、駅前デッキやときめきラボからの引き込み路を用いて田川沿いに視線と人を導いているデザインが優れている。幸橋の袂の階段広場も、田川の河川空間を開くのに寄与している。
  • 田川を活用した水辺エリアの創出や駅東口との繋がりにスローモビリティを活用するなど、面白いアイデアが詰まっている。ただし「ありそう」で「できそう」な駅前空間とも感じられ、建築そのもののデザインも含め、未来を感じさせるデザインに、一層の斬新さを期待する。
1枚目
2枚目

まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞

作品名
Utsunomiya Asobi-basm
 
受賞者
河﨑 篤史/上木 翔太/上杉 謙虎
[株式会社三菱地所設計 都市開発マネジメント部]
審査講評
  • 現状分析・実現手法・スケジューリングなどディテールまでバランスよく提案されている。「遊びが都市にあふれる姿」をコンセプトに、「にぎわい」「交通基盤」「環境・防災」の3つの観点によるアーバンデザインの手法が、明確でわかりやすかった。課題解決に向けたまちづくりの提案を丁寧に行い、競技に対して的確に対応しようとする姿勢を高く評価した。
  • 遊び(アソビ)から都市をデザインするのは現代的。地域の住宅・店舗・ワークスペース等のコンプレックスが未来の息吹を感じる空間となっている。
  • 計画される空間の建築形態の形成原理が不明で、周辺街区から浮いて見える印象はあり、その未来的都市空間の是非は意見が分かれるところであるが、北側の現在比較的低密度利用の土地を中心に、川からつながる新たな都市空間を提案し、それを独自の雰囲気でまとめ切っている点が評価される。
  • シン・トナリエを北側に寄せて駅前と田川をつなげる方法、操車場跡地のインティメートな空間などは魅力的。自然と調和の取れた都市の姿が描かれており、天候によって変化する空間といった考え方も面白い提案である。
1枚目
2枚目

(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞

作品名
共有経済都市- うつのみや駅西自治区
 
受賞者
岡本 幸/田口 奈津子/所畑 隆洋/萩原 克典/田端 啓梧/佐藤 毅
[株式会社プランテック]
審査講評
  • 駅西のエリアを空間としてのまとまりだけでなく、ある種のコミュニティとしてのまとまり(自治区)を提案しているところに独創性がある。シェアリング社会は現代的な回答であるが、それを様々なスケールで空間に落とし込んで丁寧に提案しているのも良い。LRT駅を取り込んだシェアリングハブはややオーバーサイズだが、分散的な提案にあって象徴的建築となっている点を評価した。
  • 「移・食・住」をシェアリングサービスする「共有経済都市」という発想・コンセプトがユニーク。お試し移住など宇都宮での生活を気軽に体験できるなど可能性が広がるアイデアである。
  • LRT新駅のL字型のプランと乗り換えの提案が魅力的だが、宇都宮独自の展開が空間的イメージとしてさらに展開されていると、よりわかりやすいものとなると思われる。
  • 表現手法としての「アイコン」が、平面図・断面図とも目立ち、見るものの視線を支配してしまう。主張が伝わる表現の仕方を工夫すれば、もっと説得力のある提案になったと考える。
1枚目
2枚目

奨励賞

作品名
Combine Utsunomiya 
 
受賞者
景山 亮
[株式会社日建設計 都市・社会基盤部門]
審査講評
  • 都市景観・都市基盤・都市機能それぞれに対する、コンセプト・配置イメージから整備手法・整備イメージが非常に丁寧に検討されている。駅を降りて、宇都宮丘陵や中心市街地方面へと広がる視点場を創出するため、高台やステップ状の広場を設けるなど、宇都宮の景観を活かした発想を高く評価した。
  • 駅前の一連の建築やステップ広場がこのボリューム・形態で適切なのかについては賛否があろうが、形態構想力は評価できる。デッキから直接橋に降りるルートはユニークな提案だが、巨大なペデストリアンデッキには疑問が残る。提案としては成立している一方、グランドレベルが活かせていないように見えるのが残念。
  • リサーチから課題整理までは、表現を含め秀逸である。一方その解としての2枚目の提案は、テーマが近未来の宇都宮であったのに対し、駅前の街区が20世紀的なビルの林立となっているように感じられた。駅前広場のデザインや繋がりが明確になるとなお良かったと思われ、今後の可能性に期待し奨励賞としたものである。
1枚目
2枚目

奨励賞

作品名
US の宇都宮
 
受賞者
九鬼 拓也/柴山 慶子/高橋 俊弥/西木 浩志/横田 直哉
[新潟大学大学院 自然科学研究科 環境科学専攻 都市計画研究室]
審査講評
  • 3つのSで明日の宇都宮をつくるという考え方が明確に示され、歴史、都市の構造を踏まえた歩行者中心の空間を提案している。
  • 駅前を人中心の空間にするため、区域内は公共交通のみに限定するという思い切った考えを高く評価した。駅前を歩行者が安心してくつろげる空間にするなど、人中心の空間形成に向けたアイデアが豊富で、人の動きや歩行者の視点に配慮した提案がされている。
  • LRTの駅を建築物として解き、駅建築の中をLRT軌道が通っている案はユニークで新しい可能性を感じさせる。
  • 川沿いの空間づくりが秀逸。ペデストリアンデッキを使って駅から直接田川に導くルート、田川に向かうテラスとデッキなど、魅力的な空間が配置されている。駅北側の遊休地も単なる空地とせず、観光・余暇の拠点として提案されており、建築と空地のバランスも良い。ただ、全体を統合するコンセプトが若干弱い点が残念。
1枚目
2枚目

宇都宮市長特別賞

作品名
MULTI-CYCLE & INTERPLAY - 文化的な宇都宮へ
 
受賞者
阿部 哲也/児玉 創/田中 宣安/山本 琢人/柳川 篤志/高岡 奈々恵/戸谷 百萌
[中央復建コンサルタンツ株式会社]
審査講評
  • 現在、様々な分野におけるデジタル化が急速に進む中にあって、都市のあり方や必要な機能などが見直されてきている。そうした課題に真摯に向き合い、人々の活動と出会いから新たな創造が生まれ、活性化していくまちというコンセプトが大変よく考えられている。
  • 自動車中心からLRTなど公共交通を中心としたまちに変化させていくため、目的地と居住地の往復だけでなく、その途中で気軽に立ち寄りたくなるようなまちを作っていこうとする考えが、宇都宮市の考えと合っており、それを具体化していくアイデアに関しても配置などを含めしっかりと検討されている。
  • 通勤・通学者が多いまちの特性や農業・スポーツ・ジャズといった地域資源、LRTの特性など、宇都宮市の特徴や強みを十分に理解した上で、それらを活かしたコンセプトや空間の使い方などを上手く考えており、これらの点を高く評価した。(宇都宮市)
1枚目
2枚目

総評

今回の競技は、交通処理に関する課題を解きつつ、まちをいかに魅力的にするかという提案を求める内容で、非常に難しいものであった。そうしたなかでも、知恵を絞り、これまで思いつかなかった視点やアイデアが提案されるなど、課題に真摯に向き合った作品が多く提出されたことに敬意と感謝を申し上げる。
その一方で、以下のような点に更なる工夫・提案を期待し、一層のレベルアップを希望する旨の意見があった。(内容が重複する点がありますが、趣旨をそのまま掲載いたします。)
  • 全体的に駅前広場がうまく成立していない提案が多くあり、やや残念だった。建築的提案と土木的提案のバランスを保つことも、まちづくりの提案として重要である。
  • 宇都宮の中心市街地に存する極めてユニークで魅力的な空間である「田川」を、まちと融合し活かすような斬新な案が少なかった。ランドスケープをベースとする、土地の有する力・魅力を発掘し展開していくことが重要。
  • LRTを導入する新幹線停車駅という特性があるにも関わらず、駅前の交通機能が解けていない提案が多かったのは非常に残念。加えて、駅東口を意識した提案も少ないように感じられ、その意味では、提案者には、より幅広い視野をもって提案されることを期待したい。
  • 新たにLRTが導入される交通環境の変化に加え県庁所在都市の中心駅として稀有な「田川」との近接という分かりやすい地区更新の可能性に対し、魅力的な方向性を提示する提案はみられなかった。経済状況などから地方都市の市街地整備が進展しない状況下で、こういった計画の技術力低下が露見したように感じる作品が散見されるなどは残念であった。

結果概要(応募件数・審査方法・受賞作品・審査講評)

<掲載作品>
国土交通大臣賞・まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞・(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞
<掲載作品>
奨励賞(2点)・宇都宮市長特別賞

過去の入賞作品

過去の入賞作品はこちらをご覧ください
TOPへ戻る