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第7回まちの活性化・都市デザイン競技

第7回(2004年)「まちの活性化・都市デザイン競技」の審査結果について

第7回「まちの活性化・都市デザイン競技」におきましては、力作をお寄せ頂き誠にありがとうございました。皆様からよせられた応募作品について、平成17年3月22日の審査会で開催し審査した結果、下記の通り入選作品を決定・表彰しましたのでお知らせします。
 
表彰式は、
国土交通大臣賞

平成17年6月24日(金) 都市センターホテル コスモスホール 【まちづくり月間・中央行事】にて行いました。
まちづくり月間実行委員会会長賞
udc会長賞・奨励賞

平成17年6月28日(火) 都道府県会館 4F 401会議室にて行いました。
なお、第8回「まちの活性化・都市デザイン競技」は、本年度も実施する予定ですので、皆様の募集をお待ちしています。

審査結果

1.国土交通大臣賞 ・・・1点(賞状・賞金70万円)

入選者氏名:風見 正三 他6名       
所属:大成建設(株) 設計本部まちづくりグループ
 
2.まちづくり月間実行委員会会長賞 ・・・1点(賞状・賞金30万円)

入選者氏名:瀬川 勝之 他5名      
所属:(株)緑景
 
3.(財)都市づくりパブリックデザインセンター会長賞 ・・・1点(賞状・賞金20万円)

入選者氏名:岡 大輔 他4名        
所属:(株)環境デザイン機構
 
4.奨励賞 ・・・3点(賞状・賞金10万円)

入選者氏名:田村 夏美 他6名       
所属:(株)アルテップ
 
入選者氏名:横山 大輔                    
所属:岡山大学 環境理工学部環境デザイン工学科
 
入選者氏名:石田 計志 他3名        
所属:高知工科大学 社会システム工学科 助手
 
「まちの活性化・都市デザイン競技」は、まちづくり月間の行事の一環として、まちづくり月間実行委員会と財団法人都市づくりパブリックデザインセンターとの共催により実施しています。

本競技は、活性化を図るべき中心市街地において、土地区画整理事業などを活用して健全な市街地の造成及び良好な景観形成を図るための地域に相応しい整備構 想とまちのデザインを広く一般から求めることにより、まちづくりに対する感心を高めるとともに、まちの活性化に寄与することを目的としています。

国土交通大臣賞

コンセプト

城園都市
-操山~岡山城・後楽園~都心へと連なる、緑豊かな「城園都市軸」の形成-
 
提案主旨

 岡山は、日本三大庭園のひとつである「後楽園」が立地する観光都市であるとともに、江戸時代より城下町として栄えた歴史と伝統を兼ね備えた美しい城郭都市であった。
しかしながら、今日の岡山は、こうした岡山本来の歴史と伝統を感じさせる美しい景観が阻害され、城下町としての都市のコンテクス卜が失われつつある。
本提案は、このような岡山の城下町としての歴史的文脈を踏まえて、操山から岡山城・後楽園、都心部へと連なる緑豊かな「城園都市軸」を創造し、岡山の表 玄関である「桃太郎大通リ」を自然と共生する都心の庭として再生することにより、都市景観の保全・再生・創造、都市の活力の再生、自然環境との共生を同時 に実現していくものである。
 
  • 岡山らしいダイナミックな風景の保全と創造
    岡山城の天守閣、後楽園の芝原の広がリ、美しい曲線を描く旭川の流れ、操山の借景など、ダイナミックな城園の風景をもつ岡山の景観特性を保全・創造し、水と緑と歴史の豊かな「城園都市」を岡山の将来像とする。
     
  • 城園都市軸「桃太郎大通り」の中心性の構築
    自然豊かな操山を背景とし、岡山城から岡山駅へと伸びる桃太郎大通りは、都市の中心である「城園都市軸」と位置付ける。岡山の都市イメ-ジの骨格として、歴史的建造物を活かした景観構成、街の顔となる辻の整備、大通りの並木の増設などにより、見せる風景を構築する。
     
  • まちづくりの連鎖反応の発生
    都市イメ-ジの構築には時間を要するが、既存の地域資源を磨き上げ、それらの個性をつないでいく事によって、連鎖型のまちづくりのシナリオを実現していく。 また、その実現母体として、まちづくり会社を設立する。まちづくり会社は、多様なセクタ-の連携を促すために、イニシアティブを発揮して、岡山都心の活性 化のム-ブメン卜を引き起こす。
     
  • 創造性豊かな都心コミュ二ティの再生
    既存の地域コミュ二ティを基盤として、豊富なオ-プンスペ-ス、文化・交流施設の集積、2つの商業拠点へのアクセスの利便性など、都心居住の魅力に新たに集まる人々を包含した都心型コミュ二ティを形成し、人と人とのつながりの魅力から、岡山の新たな都市文化を創造する力を生み出す。

まちづくり月間実行委員会会長賞

コンセプト

「Multi-Complex Greenery
~緑が街を育み、賑わいと品格を染め拡げる~」
 
提案主旨
 
蘇る原風景
おかやまは城下町であり、往時の流通の主な手段が水運であったことから、その水と緑の佇まいは池泉回遊式の庭園と見立てることができます。現在は、そ の名残が後楽園・岡山城であり、その周辺の豊かな緑や清らかな旭川が、土地の記憶として現在まで、引き継がれて存在しています。
我々は、この城下町の風景を原風景と位置づけ、現代的に蘇らせようと考えます。
環境哲学者の桑子敏雄氏は、原風景について次のように定義づけています。
「原風景とは、感性によって自分独自の物語を発見できるものである」と。
この定義から、モノヒしての「まちづくり」だけではなく、街が人々の行為を誘い、寄り添い、様々な活気が生まれる、つまりそれぞれの物語が生まれるまちづくりを提案します。そのまちづくりを実現すべく、
「Multi-Complex Greenery ~緑が街を育み、賑わいと品格を染め拡げる~」を基本コンセプトとします。
品格と賑わいのある岡山の街で人々が様々な活動を行い、それぞれの物語を持てるようになり、まちの環境が「風景」として立ちあらわれることをめざします。

物語の生まれるまちづくり
都市における営みは自由であることが特徴である一方、景観形成には、公的な見地から一定の規範を守ることが求められます。
この自由と、規範という相反する都市のありようを景観づくりへ導くべく、景観及び環境調和のシンボルとして、核となる緑を桃太郎大通りに導人します。拠 りどころとなる都市景観を生み出すことにより、街に風格や居心地の良さ、活気をもたらし、自律的なまちが拡がることをめざします。
また、従前の桃太郎通りの計画に対するカウンターコンセプトとして、様々なオープンスぺ一スや立体的な緑を広義の「緑」として導人します。これにより、景観形成の規範を少し「ハズ」し、さらに活気を導き、物語が生まれることをめざします。
以上のコンセプトのもとに、路(みち)・商(あきない)・居(すみか)・心(こころ)の4つの生活シ一ンを物語として、提案を展開します。

(財)都市づくりパブリックデザインセンター会長賞

コンセプト

表現する広場
 
提案主旨
 
市民の表現活動が岡山市のシンボル
単に、岡山市における重要な文化地区である岡山城周辺と、交通の結節点としての岡山駅をつなぐだけでは、真のシンボルロ-ドとはならない。
岡山城は隣接する後楽園が歴代藩主による“大名庭園”と呼ばれる。つまり、この岡山城周辺を大きく特徴付けてきた文化は、特権階級による、-部の人のため の文化であった。そこには現在の岡山を形作ってきた大多数の名も無き庶民は見当たらない。さらに後楽園はその美術的価値から、できるだけ忠実に復元・保存 されることが求められるため、現代においても市民が日常的活動を行う場とはなりえない。一方、岡山駅は新幹線が停まり、日本の主要都市や海外と容易につな がることができる、国際性を持った大規模な結節点である。ここでは、多くの民族がいつでも誰でもバリアフリ-に訪れることができるようデザインされる。そ の結果、他都市とほとんど変わらない合理主義、機能主義によるインタ-ナショナルスタイルが主流である。このス夕イルは、グロ-バルスタンダ-ドとして標 準化され、更新されていくため、市民が日常的な生活の“シンボル”として認識するのは困難と思われる。
ここで、この通りを現代的にシンボライズしようとした試みとして、桃や桃太郎、瀬戸大橋をモチ-フとしたデザインが見られる。しかしこれらはあくまでも記 号であり、現実の岡山の姿を現したものではない。むしろ過剰な記号の連続は、来訪者へ“岡山らしさ”を押し付けることになりかねない。
重要なのは岡山駅と岡山城に共通するのは、日常の“市民”のためのものでないこと、さらにそのような場で市民自らが主体的に活動していく“表現する”行為 が欠けていることである。この“表現する”には「ヒ卜」が自らを表現することと同時に、当然、「場」として歴史文化や国際性、自然環境などの周辺環境を視 覚化する表現も求められる。
岡山城と岡山駅をつなぐ重要な軸上で、今を生きる市民が自らを表現し、「場」は地域性を映し出すことでさらに「ヒ卜」の表現を誘発する。この「ヒ卜」と「場」が表現による相互作用を起こす状況そのものが、今を生きる岡山市民にとってのシンボルである。

提案

本提案は、この考え方を出発点とし、「表現する広場」を実現するために、主に3つの考え方により構成されている。これらは、世界の潮流としての車中心から歩行者中心へ道路のシフ卜を前提としている。
 
  1. 小さな広場
    車中心であつた道路構造を歩行者に取り戻し、ヒ卜のための場の集合が、広場となって表現の場を連続的に形成する。この小さな広場が集合したものが通りである。
     
  2. 大きな広場
    交差点はヒ卜とヒ卜が出会う「大きな広場」であり、そのデザインは地域性を映し出し、多くのヒ卜の表現を誘発する。
     
  3. ア二メ-卜する小径
    水はヒ卜や物事を本質的に連動させる性質を持っている。この水を通りに引くことで「小さな広場」と「大きな広場」につながりを持たせるとともに、様々なコミュ二ケ-ションを誘発する。
 

奨励賞-1

コンセプト

「Town=MyRoom ~このマチは わたしのモノ~」
 
提案主旨
 
対象地区はこれまでの整備によって、地方都市の中心市街地としてのインフラが既に十分に整備されています。しかし、どこか殺風景で個性がなく、どの地方都市の中心市街地と大して変わりのない風景が広がっています。
  これは公共空間が整備されるほど、そこが市民全ての公共財産であるという意識を持ちながらも、いつの間にか個人とは関わりのない空間、無関心でいても構わない場所という感覚を生み出してしまつていることが要因の一つです。
  私たちは、マチを自分とは関係のないモノだと考えてはいないでしょうか?
  こうした無関心を変えていくこと。マチが個人と深く関わりのあるモノだと認識して生活すること。本提案はこの考えをもとに、対象地区が抱えている幾つ かの課題を解消する方法を、私たちが日常生活で感じている気持ちや快適に生活するための工夫を手がかりに、具体的なカ夕チに変えて展開していくストーリ― です。
 
デザインの考え方
「マチをわたしのモノに思える空間づくりと仕組みづくり」
5つの空問を中心に、家の中にある機能がマチに散在しているような空間づくりと、まちづくりに参加したいと思いながら二の足を踏んでいる「まちづくり予備軍」も、肩の力を抜いて気軽にマチに関わることのできる仕組みづくりを行います。

5つの空間の提案内容
  • Corridor -桃太郎大通り―
    現状の土地利用を踏まえた景観プランと自転車専用道の整備によるメインス卜リ-卜づくり
     
  • Entrance ―岡山駅前―
    新たなペデス卜リアンデッキと、情報センター機能の導入により、マチの玄関にふさわしい駅前空間へ再生
     
  • Garden Kitchen ―緑道沿いのマチ-
    まちなか居住者による身の丈にあった市街地更新の仕組みと持続可能な集合住宅の計画
     
  • Living -柳川交差点-
    交差点上空での架線機能を集約させた円形オブジェの設置と、沿道建物低層部の高さ・壁面位置の誘導による二重のリングの形成を通じて、マチ同士の結びつきを演出
     
  • Atelier -城下交差点-
    城下の地下広場(しろちか)と城下駐車場を、歩行者交通の結節点、ア卜リ工拠点への入口として賑わいのある広場空間ヘ

奨励賞-2

コンセプト

なにげない生活の一コマに、彩りと喜びを。
 
提案主旨
 
真の「にぎわい」というものは、普段のなにげない生活の中に、彩りや喜びがプラスされることによって生まれるものだと考えている。現在の桃太郎大通りは、 表町・駅前周辺の商業地域に向かうための通り道でしかなく、人々に喜びを与えられる通りとは言いがたい。そこで私は、長い歴史の中で培ってきた岡山の伝統 を崩すことなく、なにげない「喜び」を提供することのできる桃太郎大通りの再生プランを提案する。
対象地区である岡山駅前は栄えにぎわい、城下交差点周辺は趣を醸し出しているように見受けられる。しかし、地区ごとの機能分担が明確に行われておら ず、岡山市における都心軸としての機能を十分に発揮できていないために、個々の魅力が損なわれている。そこで私は対象地区を3ゾーンに分けることにより、 地区ごとに独自の「色」を持たせ、なにげない生活の一コマに「彩りと喜び」を与えることのできる都心軸の創出をねらった。
 
  • にぎわい創出ゾーン
     当ゾ一ンにおける人々の動線は岡山駅から本町周辺へと傾いてしまっている。そこで岡山駅周辺の回遊性を高め、市民が安心して歩くことができるよう整 備し、かつ、屋外広告の規制等により洗練された風格ある岡山の顔を演出する。また、にぎわい創出のため駅前商店街と岡山会館跡地を総合的に再開発し、岡山 を代表する一大ショッピングモールを新たに建設する。その際、持続的に駅前地区全体が発展するよう「株式会社・おかやま駅前TMO」を同時に立ち上げる。
     
  • 都心定住ゾーン
    桃太郎大通りの中央部に位置する「都心居住ゾ―ン」に下層部を既存商業施設、上層部を住居とする複合ビルを重点的に整備する。都心部に定住すること により、新たなにぎわい創出が期待でき、近隣の表町商店街にも波及効果が望める。また、高さ・色彩・ファザードを誘導することで、通りに風格を持たせる。
     
  • 歴史・文化継承ゾーン
    当ゾーンは、歴史的遺産である岡山城・西の丸跡、岡山における学校教育の中心的存在だった内山下小学校跡などが点在する歴史・文化地区である.そこ で、岡山の歴史・文化を後世まで語り継ぎ、市民の憩いの場となるよう、電線の地中化等を行い、景観に最も配慮しながら整備していく。

奨励賞-3

コンセプト

桃 紅 柳 緑
 
提案主旨
 
私たちは桃太郎大通り沿道地区を、それぞれの場所がそれぞれの顔を持ちつつ、ひとつに調和しているという「桃紅柳緑」の考えから桃太郎大通り沿道地区に新たな顔を提案します。
現在、桃太郎大通り沿道地区は駅周辺ゾ-ン、中間領域ゾ-ン、城下交差点周辺ゾ-ンの3つに分けられています。桃太郎大通りは岡山駅から後楽園までを 繋ぐ―本の通りでもあるにも関わらず、それぞれが独立した雰囲気をかもし出しているためにゾ-ンごとにばらばらな印象を受けます。そこで私たちは、まず初 めに桃太郎大通りを岡山駅から後楽園まで一本の道として、岡山県の県花である桃の花畑にするという提案します。柳川交差点も一面の桃の花畑とします。桃太 郎大通りは見て、触つて、香りを楽しむという歩いていて楽しい、見た目にも賑やかな通りとします。次に表町商店街から柳川交差点に至るまでに商業施設やオ フイスが入った「都市型集合住宅」をつくります。これは昔ながらの商店街と連結した商業施設をつくることと、住居との複合施設にすることで「都心で住む楽 しさ、魅力」を提案します。桃太郎大通りと柳緑小道という南北の道、柳川交差点、表町商店街、岡山シンフォ二―ビル、東中山下公園など、隣り合った様々な 異なる質の空間を敷地に引き込み繋ぐことで、色々な質を持つ魅力的な集合住宅となります。柳緑小道は、花畑として整備した桃太郎大通りとは違い、歩くため の道、ショッピングをするための通りとします。柳を植え、小さな流水をつくることで和風の街路としました。
岡山県の県花・桃の花咲き乱れる花畑とする「桃太郎大通り」を中心に、桃太郎大通りから一本南の道には柳並木と小さな流水の「柳緑小道」を、山陽道脇 に栄えた表町商店街を有する商業地区には「都市型集合住宅」をつくり、この3つを持って岡山に新たな風を吹き込みます。これらを起点として桃の花溢れる賑 やかな街となるよう、この様々な顔を持つ都市景観「桃紅柳緑」を提案します。
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